有酸素運動と無酸素運動の違いや効果について!境界や区別は?
2017/03/01
多くの人々が有酸素と無酸素をはっきり分けたがっていますが、はっきり言って有酸素運動と無酸素運動は種目で区分されるものではありません。
ほとんどの運動はやり方、強度によって有酸素運動にもなるし、無酸素運動になったりもします。
そして、実際に多くの場合はこの二つは同時に行われます。
ところがここで有酸素と無酸素は何なのか?に関する基礎的な理解が必要です。
1.酸素が必要な理由
私たちの体の基本的なエネルギー源は糖分です。
糖分、つまり炭水化物は C:H:O=1:2:1 の構成比で構成されています。
糖分を燃やせば、残り物で水(H2O)が出て、炭素Cが残ることになります。
ここで水は汗と小便で出せはいいですが、炭素はそのまま捨てることができないために酸素を合わせてCO2、つまり二酸化炭素を作って血に出さなければなりません。
ですので糖分を分解して、老廃物を正常に排出するためには、一定量の酸素が継続的に供給されなければなりません。
動物の細胞は脂肪も補助エネルギー源として使用しますが、普段でも微量の脂肪は消耗されています。
脂肪を燃やす時にも水と酸素が必要です。私たちは息をして細胞に酸素を供給しているから、死なずに生きていくのです。
だから厳密に言えば、私たちがするすべての動き、生命反応は酸素を消耗する有酸素活動です。
2.有酸素運動=糖分と脂肪燃焼
私たちの体は一日中使っても十分な数百グラムのグリコーゲン(動物性炭水化物)と、数kgに達している体脂肪を保有していて、
糖尿のような代謝障害ではなければ、血糖、脂肪酸も24時間安定的に供給されます。
そして体に大きな無理になるような老廃物も出ません。
結局、有酸素運動はこのような正常なエネルギー代謝の範囲を最大限活用して長時間行う運動だといえます。
つまり持久力、脂肪燃焼を目的にする運動だともいえます。
3.無酸素運動=老廃物の多い非効率燃焼運動
糖分+脂肪の日常的な代謝だけでは足りないくらいの激しい動きをする場合、あるいは普段やっている運動量以上に急に消化しなければならない場合、短い時間、多量のエネルギーを出すことができる非常用エネルギー源が必要です。
それでこの時は酸素を消耗しない非常燃焼システムでその不足分を代わりに何とかします。
このような運動をよく「無酸素運動」といいます。
ではなぜこの反応が普段では起きないのか?
老廃物(乳酸)がものすごくたくさん出るので、脂肪を燃やすには非効率的な燃焼だからです。
4.運動強度が高くなるほど、脂肪燃焼費が下がるから強度を高くしないで?
強度が高いほど脂肪燃焼“比”が低くなる理由を調べてみましょう。
上記のように、正常な糖分、脂肪代謝はある限界を超えれば、それ以上出力がほとんど上がりません。
そして、不足分を埋めるのが非常システムであるこの不完全燃焼分です。
この不完全燃焼も糖分を燃やします。 だから強度が高くなれば、炭水化物を使う量が増えるのは当然です。
例えば、ある人がいます。 この人のエネルギー出力は糖分7、脂肪7が限界だとしましょう。
この人が歩く時にエネルギー10が必要です。
正常糖分燃焼(5)+正常脂肪燃焼(5)
===>これで十分です。 つまり脂肪燃焼費は50%です。
ところで遅刻をしてしまい、相当のスピードで走ってたらエネルギー20が必要になります。
正常糖分燃焼(7)+正常脂肪燃焼(7)+不完全糖分燃焼(6)
===>正常燃焼が限界を超えてエネルギー不足になり、不完全燃焼6を使います。
強力な有酸素は相当量の無酸素代謝を同伴します。
脂肪燃焼比は35%です。 しかし、脂肪燃焼量は40%が多いです。
5.歩くことは有酸素、筋トレ&ランニングは無酸素?
上に述べたように、有酸素と無酸素を分ける基準は運動種目ではありません。
人によって異なり、運動の強度によって違います。
さらに、現実ではほとんどの場合、無酸素エネルギー反応と有酸素エネルギー反応が同時に起きます。
(ただ、相対的に小さな片方が無視されるだけです。)
つまり筋トレといってもすべてが無酸素ではなく、徒歩、自転車、ステッパーといって、すべてが有酸素ではありません。
重量挙げ選手が100キロバーベルを持ち上げるのは無酸素運動でしょうが、10キロバーベルで5分間休まずミリタリープレスをするのは有酸素運動に近いでしょう。
(一般人が同じ運動をすれば、無酸素になるでしょうね。5分間もできないでしょうけどね)
自転車を30分間適当なスピードで乗るのはよほどでなければ有酸素になるでしょうが、急な坂を10分間登るのは無酸素に近いでしょう。
つまり、有酸素と無酸素は種目別で分けるものではありません。どんなエネルギー源を使用するかの分類です。
適当なプログラム、十分な才能があれば歩いたり、走ることのようないわゆる“有酸素運動”をしないでバーベルやダンベルだけでも、ある程度は有酸素効果を得ることもできます。
下半身を負傷した人や障害者運動選手たちがこのような場合ですね。(ところが実際にやってみるとトレッドミルで走ることが簡単で楽です)
とにかく、「不完全燃焼」これが問題児です。 正常燃焼だけで最大化させる、つまり有酸素範囲を最大限広くする方法はないでしょうか?
6.マラソン選手の有酸素は私の無酸素
無酸素燃焼反応が起こる警戒を「無酸素性閾値(TA)」といいます。
しかし、この無酸素閾値は人によって差があります。
人の体は自動車とは違って、必要な場合、排気量と出力が少しずつ増えたりするとてもよい機械です。
運動を続けると、酸素運搬能力も高まって、筋肉内の発電所であるミトコンドリアも増えて、酵素分泌と反応も活性化されて酸素+脂肪燃焼が出せる「正常なエネルギー出力」が高くなります。
したがって、不完全燃焼の無酸素になる限界値がだんだん高くなります。
マラソン選手が試合中100メートルを走る速度を知っていますか?
42,195mを8,400秒(2時間20分)で走っているので、大体100メートルを20秒前後で走るわけです。 普段運動をしない普通の一般人には全力走りに近い速度です。
しかし、マラソン選手にはこれが有酸素範囲です。 驚きますよね。
*もちろん無酸素性燃焼もある程度一緒に起きるので後半部には筋肉に、とてつもない量の乳酸が濃縮されます。ひどい場合、それのせいで死亡したりします。
過積載を繰り返した貨物車は、壊れやすい車になりますが...、人の体は適当に過積載をして'早く能力を高めろ'とずっと攻めれば、軽自動車がフェラーリになることも不可能ではありません。
つまりTAを超える運動はTAそのものを高めます。 カロリー消耗が大きかった強い運動をしても私には有酸素になるということはとても歓迎したいことですね!
7.自分自身を知れ
専門スポーツ選手、登山家たちの心拍数、血中酸素濃度を計ってみると、通常時や歩く時やほとんど差がありません。
歩きながら餅を食べてオペラ・アリアを歌っても変わらないくらいです。こんな方々にとっては歩くのは運動だといえません。ただの活動です。
反面、全く運動をしていなかった方々、肥満の人々、高齢者たちは4~5分歩いただけでも滝のように汗を流して心拍数が2倍近く上がります。
このような人たちはちょっと無理して走る瞬間、すぐ無酸素閾値を越えて無酸素運動になってしまいます。
運動の記事などで歩くこと、ウォーキングは有酸素、走ることは無酸素ということが紹介されたりしていますが、一般人にはその通りだと言えます。ただし体を長く鍛えてきた人には当てはまらない場合が多いです。
ところでもう一つ、筋トレをやっている方の場合、筋肉量と体重が一般人より重い場合が多いです。
このような人は、車体が大きな大型車になっていますので、エンジン排気量(心肺機能)も当然、それに合わせなければなりません。
そうせずに「俺は筋肉を大きくするだけだから有酸素運動なんかやらねぇ」と心肺機能を無視してしまうと、クラウンに軽自動車のエンジンを載せたのと同じような、
ただの身体能力の弱い筋肉バカになってしまうでしょう。(心肺機能が弱ければマッチョになれる可能性はほとんどないですけどね)